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2024年の営業について

槍ヶ岳山荘グループの山小屋を利用される方は必ずご一読ください。

クマ被害の件について

TVのニュース、新聞、ネット記事等でお騒がせしております、岳沢小屋です
小屋への問合せが非常に多いので、こちらで経緯・対策等をご説明いたします
まず、経緯については環境省が発表し、ニュース等で伝えられている通りです。
トリガーとなったのは16日夜~18日昼まで設営されていたテントを荒らされたこと。
こちらは17日早朝~18日昼前まで無人の状態(所有者は17日は穂高岳山荘へ宿泊)であったためにクマに狙われる時間が長かったのが一番の要因かもしれません。また先週の平日は天気が悪く、登山者が少なかったのも要因かと思います。

初回のテント荒らしの段階で環境省や関係機関へは情報の周知は行われ、これが単発的・偶発的なことかどうかを見極めるため、とりあえずは「昼・夜問わず、無人テントの張りっぱなしの禁止」という措置で経過を見ていました

そんななか、初回の件から3日後の夜の20時頃に新聞記事にもなっている件が発生しました
日曜の夜の発生にもかかわらず、翌月曜の午前中には環境省・林野庁の対策班に岳沢まで登っていただき、対策が講じられました。

まずは3カ所にセンサーカメラの設置、これで個体の確認等を行い、近日には捕獲用のオリをヘリで荷上げし、捕獲する準備・手続きが進められています。
これは一度、人間の食糧の味を覚えたクマはそこを自分の餌場と思い、2度3度とやってくるからです。
また、岳沢でテント場を閉鎖すれば、当然近くのテント場への襲来も考えられますので捕獲は不可避です(クマの行動範囲は非常に広いので)

次に人間への影響についてですが
・私も狭い登山道でクマと鉢合わせになりましたが、クマがこちらに突進してきたにもかかわらず、目の前を素通りして逃げていった
・別の日にテント場でクマに気付き、騒いでる登山者の横を走って逃げていくクマを発見(おそらく大きさから同じ個体)
・小屋の周辺に出没しているにも関わらず、小屋には近づいては来ない
・その他、1.2件の目撃情報も人を見ると逃げている

これらの事象を総合すると、
人間への脅威は感じている
決して人間には攻撃的でない
山小屋を餌場とは認識していないと、現段階では見ることができます

初回のテント襲来は人がいないから荒らして食料にありついた
2回目は中で人が騒いだから逃げて行った(2年前の小梨平で人のいたテントを引きづって言った事案とはあきらかに異なる)

これらのことから危険なのはテント=食糧と思われてしまったことで、人間への襲来の可能性は現段階では低いかと思われます。
もちろん、各地でクマの人的被害が出ていることを考えると危険度がゼロなわけではありませんが、その危険度は他の山域とさほど変わらないかと思います

ということでテント場の閉鎖はまだしばらく続くかと思いますが
オリを設置し、捕獲に成功し、その後もしばらくテント場への出没がないことがセンサーカメラ等で確認されればテント場再開になるかと思います
ただ、今後は人通りの多い日中のテント張りっ放しはともかく、食料はテントに放置せず、小屋の方へ置いてもらう、また最初の件のように宵越しの張りっ放しについては規制を行う必要があると思います。
また、人がいるいないにかかわらず、テント内での食べ物の管理、特に匂いの発散については岳沢だけに限らずどこのテント場でもご注意願いたいと思います

最後にクマ騒動は起きていますが、部屋の中や小屋のテラスにはクマはいません
部屋やテラスでお過ごしの際はチリンチリンと鳴らさず、静かにお過ごしいただけるようご協力をお願いいたします