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2024年の営業について

槍ヶ岳山荘グループの山小屋を利用される方は必ずご一読ください。

岳沢小屋のテント場利用を再開します

7月22日より利用を停止していた岳沢小屋のテント場ですが、明日8月8日(木)より再開いたします。

期間中はご不便をお掛けして申し訳ありませんでした。

テント場の営業は再開しますが、岳沢周辺から熊がいなくなった訳ではありません。

改めて、「岳沢に限らずこの山域には熊が生息しており、私たちはそういう場所を利用しているんだ」ということをご認識頂き、多少の不便はあろうとも今後も共存していけるようご協力をお願いします。

利用者のみなさまに協力をお願いしたい内容は、具体的には従来と変わりませんが、テント場利用時は食料や生ごみ・残飯の管理に気を付けて頂き、ニオイが外にもれないよう密閉して保管する、テントの外に放置しないといったことです。

テントを張ったままの状態で登山に向かうことは従来からの慣習でもあり、今後も禁止にはしませんが、テント内に食料や生ごみ・残飯を置いていかないようお願いします。

山から下りた後の食料等を置いていきたい気持ちは分かりますが、熊の生息する山域を利用する者としての責務とご理解いただけますと幸いです。

なお食料等は、山小屋では適切な管理が出来ませんので、預かることはいたしません。

今回の熊も、張りっぱなしのテントに興味をもち、テント内に潜り込んだところ食料が置いてあり、それを食べてしまったところから始まりました。

テント内の食料は密閉されたフリーズドライ食品でしたので、ニオイにつられたとは考えにくく、偶発的なものと考えられます。

その後、該当の熊はテントで餌を得られることを学習し、テントに対して執着をもってしまったとみられ、テント内に人がいる時にテントを襲う事態が発生した為、テント場の利用を停止しました。

自動撮影カメラで撮影された岳沢の熊

当初から環境省や専門家と連携して対応して参りましたが、テント場の利用停止と同時に自動撮影カメラを設置して熊の動向を見つつ、罠を設置して該当の熊と思われる個体を捕獲、その後遠方に放しました。

捕獲した熊が該当の個体であると断定はできませんが、様々な情報を踏まえるとその可能性が高いと判断されます。

また、捕獲した後も一定期間自動撮影カメラを設置したまま観察を続けていますが、テント場に執着する熊は確認されなかった為、再度環境省や専門家と協議の上、明日より再開という判断に至りました。

なお、熊の捕獲後にもテント場を素通りする熊が自動撮影カメラで撮影されていますので、テント場周辺には現在も熊が生息しているということをご理解ください。しばらくは熊の観察は続けていきます。


繰り返しになりますが、岳沢に限らずこの山域は熊の生息域であり、そこに踏み入る私たちはそれ相応の注意を払う必要があります。

熊は雄/雌や成獣/幼獣によって傾向は異なりますが、人間とは比べものにならない程の距離を1日で移動します。

ですので、今回岳沢で起こったことが他のテント場で起こるとも限りません。

我々山小屋も、引き続き対策については環境省や専門家と協議を進めていきますが、利用者の皆さまも是非ご協力をお願いいたします。