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2024/09/16
昨日の日曜の天気はすこぶる悪かった。
僕でも上高地にいたら小梨の湯でのんびりすることを決めるくらいには降っていた。あんな雨に降られながら小屋など行ってられるかという気持ちも分からなくはない。実際、キャンセルの決断をされたお客様も非常に多かった。ただ、そういった日の後は得てして、好天に恵まれるものなのである。
昨晩はパッキングの準備を進めながらも、屋根を叩く雨音に辟易していた。
「出発までに止むんですかね?」
「予報によるとね」
そんな会話を幾度となく交わしたが、まったくの杞憂だった。
午前3時半起床。急いで弁当を食べて準備を整える。
日の出は5時半。今回の山行の目的は「前穂の山頂で朝日を見る」である。
靴を履き、ヘルメットを装着。ヘッドライトに灯りをともしたら、いざ出発である。
時刻は午前4時。昨日の天気が嘘みたいな星空だった。
到着はいつでもいい。そんな訳がない。
夜明け前。それが明確なタイムリミットである。
「写真は山頂で…写真は山頂で…」
心の中でつぶやくなんて生半可なことはしない。熊にも聞こえるくらいの声で唱えていた。
前回は登っている途中で明るくなったが、今回は山頂までヘッデンだけが頼りである。
さっさと登ってのんびりしようと考えていたのだが、そいつは突然現れた。
特大のナメクジだ。昨晩は雨だった。それはそれは絶好のナメクジ日和である。
何を隠そう、春名はナメクジが苦手である。あとミミズも。
関係ないところにいてくれればいいのに、掴みやすい場所にいるからたちが悪い。
とにもかくにも、怯えながら登り降りしたことは言うまでもない。
道に関してはやっぱり楽しい。岳沢パノラマまでは岩が濡れていて多少緊張したが、その先は風のおかげか、しっかりと乾いていたためそこまでの恐怖感はなかった。
紀美子平に着いた頃には、日は出ていないが空が明るくなっていた。先刻までは真っ暗闇だったところに前穂、吊尾根、奥穂の影が浮かび上がって、非常にかっこいい。山頂まで写真は撮らないと決めていたため、写真は当然存在しない。ぜひ、実際に足を運び、ご自分の目に焼き付けて頂きたい。
午前5時25分 前穂高岳登頂
長らくお待たせいたしました。見事な雲海と、朝日になります。
ドーンッと奥穂。
太陽が少し高くなってきた。
槍穂の縦走路。右下には見えにくいけど涸沢小屋。
槍ヶ岳、表銀座方面と雲海。
こちら、前の写真でお気づきの方もいたかも。
北穂の奥に位置する大キレット、南岳を雲が乗り換える瞬間。いい絵が見れて大満足。
愛用のコップで山頂コーヒーも堪能。至福の時間。
昨日までは本当に晴れるのか疑わしかったが、たまには賭けに出てみるのもありみたいだ。
今回は運よく晴天が見られてよかった。たとえ雨だったとしてもその天気でしか見られない景色があるかもしれない。ただし、無理は禁物。自分の技術、体力を踏まえた登山を楽しんでください。
以上、アルバイト期間もあと1週間となった春名でした