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震度5強

夜半から朝まで続いた雨もあがり、岳沢最奥の大滝には水が流れ、雪解けの進んだ吊尾根には「志」の雪形が現れる季節となりました。

さて、ニュースなどご存知の通り、上高地界隈で強い地震が続いており、今日はそのなかでも相当強い地震が起きたということで、岳沢小屋は大丈夫?なんて心配をされる方が5人くらいはいることかと思います。
4月23日から始まった上高地周辺の群発地震ですが、今日はその中でも最大の地震がおきました。マグニチュードは5.3。気象庁の観測地点では震度4ということですが、震源の直上とも言えるこの界隈ではおそらく震度5強だったと思います。

1998年の多大な被害を出した群発地震も経験しているので、ちょっとやそっとの揺れには動じない私も、思わず「おぅ、おー、オォォ!!」と大きな声を出してしまいました。揺れと同時にコブ沢、天狗沢、間ノ沢、西穂高沢などで大規模な雪崩が発生。
その様子は上高地へ歩荷に降りていたスタッフも見ていたようで、小屋のすぐ背後に迫るコブ沢の雪崩を心配して電話をかけてきたほどでした。

確かにコブ沢の雪崩はヘリポート(画面左手の石垣)のすぐそばまで迫り、そこから派生した雪崩は小屋の50m上まで押し寄せましたが、幸いにそこで止まってくれました。同時に画面右手の斜面からは落石が多数落ちてきましたが、こちらも小屋の30m上の場所で止まってくれました。
小屋は無事かと聞かれたら…

厨房では物が落下して散乱したり、

小屋の石垣が一部崩れたりもしましたが、建物自体は頑丈な基礎(コンクリート)と積雪5mにも耐え得る堅牢な構造で特段問題はありません。

ただ、岳沢登山口の近くでは5m四方もあるような巨大な落石が登山道のすぐ脇まで落ちてきていたり、斜面脇から崩れたような中くらいの石が登山道に散見されました。
前回のブログでもご案内しましたが、今は非常に危険な状態です。
幸か不幸か、コロナ禍のおかげで登山者がいないのが救いでしたが、今日の雪崩などはもし遭遇したらとても避けきれる規模ではありませんでした。

今日は午前2時頃に発生したM4.8、ここでの推定震度5弱を引き金として、気象庁が観測するだけでも30回以上、現地で感じる有感地震は200回を軽く超える頻度で発生しています。
コロナ禍で登山自粛のお願いも出ていますが、それよりも今は群発地震のほうが危険ですので、上高地や穂高岳・槍ヶ岳には近づかないほうが良いと思います。
1998年の地震の時は2ヶ月ほどで収束したので、今回も6月の終わり頃には収束してくれるものと願っています。
夏になって、コロナのほうもこのまま落ち着いてくれるなら梅雨明けと同時に「新たな生活様式」のもと、登山を楽しめる時がくることを期待しています。