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2020/07/20
昨日、休暇を取得し、いち登山者として現在の重太郎新道は前穂、奥穂への登山道として利用できるかゆっくり時間をかけて状況偵察に行きました。(吊尾根間は2往復して状況を確認しました)そのご報告をいたします。
状況としては大きな地震が立て続けに起きていた5月~6月時点よりは、落石や崩落などは悪化しておらず、むしろここ最近の大雨によって細かい土砂が流され、地盤の隙間や不安定な石の隙間が埋まり、若干安定したかなといった印象です。 また我々の手の届く範囲で、落石除去、石の積み上げ等行ったこともあり、(穂高岳山荘さんも手を入れてくれています)現状としては
浮石はいつもより多く、路肩崩れでかなり不安定な場所もあり、下りでの軽微な転倒は十分あると思いますが、いつもより多めの装備、食料、水の携行、時間をかけて登れる行動計画なら登山道として利用できるかなと思いました。
大きな地震さえ行動中になければ、岩稜登山を普段からされている中級者以上の方々なら問題なく通行できると思います。(吊尾根上に残雪はありません)
絶対動かないであろうと思ったでかい石に足を乗せるとそれが浮石で尻もちをついたなんてことが2,3度ありました。(ある程度は除去済み) )
地震の方はと言いますと、昨日私の行動中は小屋にいたスタッフの話しでは、小屋でじっとしていると感じる程度の揺れは数回ありますが、外で作業していたりすると全く感じない程度の地震しか起きていないとのことでした。ここ2、3日はやや落ち着きを見せているといった状況です。
あとはもう大きな地震が来ないことを祈るしかありませんが、ここ数日は落ち着いている状況もあり、22日から小屋の営業を開始することにしました。
重太郎新道は 登山口(上高地)から前穂、奥穂高岳へ至る最短ルートではありますが、最短=キツイということを十分承知のうえご利用ください 。水場も岳沢小屋を過ぎれば、次は奥穂の山頂をすぎ、穂高岳山荘まで下ってはじめてありつけます。3000mの縦走路を3~4時間歩行するわけですから、それなりの量が必要です。
自分も昨日は水を2.5㍑ お湯を0.5㍑持参しましたが全て飲み尽くしました。また万が一何かあってもいいように、ツェルト、短いピッケル(落石の直撃を防御する)スリング、カラビナなど用意していきました。
ここに書いた装備がすべて必要というわけではなくて、こういった装備の選定から、自ら考え、選び、携行できる体力のある人に登ってもらいたいというのが本音です。
とにかく普段地震が無い時でも、穂高を登るにはそれなりの準備が必要なわけですから、道もいつもより悪く、いつ地震が来るか分からないという状況であれば、山行を安全に楽しむために必要なもの(装備、時間、技術、体力)が増えるのは当然ですよね。
昨日の登山のことを、回想してみて思うことは
晴天の中、様々な状況、リスクを考慮しつつ、岩の状況を確認、柔軟に対処(選定した装備で)し、岩稜の穂高岳へと延びる急峻な尾根筋を素早く、かつ安全にダイレクトに登り上げていくのは最高に楽しい時間でした。
といった感想になります。
今年は本当にいろいろあります(まだあるかも)が、穂高の岩々にやっぱり今年も会いたいという方々大勢いらっしゃると思います。
そんな人たちのために今の重太郎新道~吊尾根~奥穂高岳へのルート偵察の情報レポートでした。なお、休暇を利用して登っていますので多少個人的な表現があることはお許しください。
以下
現在の重太郎新道を自分が休日を使って、もう一度友人と登るとしたら、事前に何を友人に伝えるか考えたものを箇条書きします。 参考になるものがあれば幸いです
〇とにかくやっぱり山は天気が良くなきゃだめだな。
(2週間近い雨曇りの日々を山小屋で過ごしてからの久々の晴天の感想)
〇地震のことを考えると、初心者は連れて行きたくないな、慣れた人だけ声を
かけよう
〇いつもより多く水、防寒着、装備を持ったほうがいいな
〇コースタイムにゆとりを持って、重太郎新道を慎重にかつスピーディに通過し
たほうが良いな危なそうな沢地形の部分は早く、安全なところではゆっくり休
む。結果いつもより時間をかけて登ることになる
昨日も普段自分がかかる時間の1.5倍かかりました。)
〇穂高に登った後に下りで岳沢に下りるのは怖いからやめたほうがいいな
〇2日しか休みが取れなくて穂高へ行くなら、岳沢泊の前穂の往復ぐらいが限界
かな 3日あれば天気次第で奥穂も考えてもいいかなあ
〇テント泊装備を背負って、1日で穂高岳山荘までは無理だな。できるかもだけ
ど、ちょっと余裕がなさすぎるな
〇やっぱり久々の3000mの稜線は寒いな、風が少しでも吹けば0℃近い体感だな
ここ最近はまだまだ梅雨の影響が色濃く残り、晴れ予報でも早朝1~2時間晴れたらあとはガスで、時折強い雨が降ってきたり、雷が鳴ったりと不安定な天気が続いています。ただその中でも昨日のように高気圧に覆われる時間があるときもあるので、チャンスをうかがい、その時を逃さないことが大事かなと思います。
ここからは岳沢周辺の状況をお伝えします。岳沢小屋のテント場は小屋より少し上部にあるのですが、この時期はまだ雪が多く残っています。なので石の平な場所に設営できるのは、現状20張り程度です。それを超えると、幕営可能場所は雪上になりますのでご了承ください (角スコは無料で貸し出します)
このザックが置いてある場所が平らで広く、石の上に10張りほど晴れる場所なのですが、まだ雪があります。ここのスペースを合わせて、通常時は30張りほどで満張となるのですが、現時点では逆に雪上に20張り以上張れそうな状態です。
寒いですが、この時期に雪上でテント泊するのもなかなか楽しいもんじゃないですかね
ちなみに今年はテント場の予約が必要ですか?とのお問い合わせを多くいただきますが、岳沢小屋のテント場は予約不要です 先着順に張っていただけます。
ただし好天の連休などには15時以降など幕営場所が無いこともありますのでご了承ください。普段こういった満張時には沢の中に張ってもいいですよ、小屋周辺の石垣上に早朝撤去するなら張ってもいいですよと対応しているのですが、
今年はそういった対応はしませんのでご了承ください。(地震時に沢の中は大変に危険なため。地震で石垣が崩れ、張る場所がありません。 )
遅い時間に上高地から登られる方で不安な方は、当日お電話ください、状況お伝えします。
変わって天狗沢の状況です。
ようやく第4お花畑まで様子を見に行くことができましたが、登山道の状況はひどいものでした。積雪期に地震、雪崩で落ちてきた大量の土砂、岩石が登山道のいたるところにあり、(周辺のお花やダケカンバたちも大量になぎ倒されています。。) 道が不明瞭な部分が多々あります。 例年なら休憩時間に散歩によく出かけるのですが、今年はあまり散歩に行っても長居できないなあというのが感想です。
というのもコブ沢や天狗沢、細かい沢などとにかくいろんな沢筋からしょっちゅう落石が発生していて、のんびり休んでいられないです。第1、第2お花畑のハイキングも今年は手短に済ませたほうがいいでしょう。
第4お花畑付近では路肩の崩れた場所など、滑落の可能性もありそうな場所も出てきます。そこから先は本当に落石の巣が待ち構えています。普段でさえ多いのに、この地震に大雨で尋常じゃない量の落石です(滞在10分で3回ほどの崩落音)
今年は今のところ、これより上部を登る気はありませんので(本当に死の危険があります)ご了承ください。今年は天狗のコル付近には近寄らないほうが賢明でしょう。
とにかく周辺の沢筋には近づかない というのは私自身も含め、スタッフにも今一度周知しなければならないと思っています。これから来るアルバイトの子たちにもくれぐれも注意するようにと伝えます。
最後に上高地から小屋までの状況です。
こちらは前からお伝えしている通り、地震等で崩れた場所もありましたが、現在は全て修復し、安全に通行できる状態です。先日、草刈りの作業もしましたし、いつも通り、ハイキングに適した歩きやすい道になっていますのでご安心ください。
長文になり、また読みづらい場所もありですいません。伝えられる情報は全て伝えたいと思い、載せさせていただきました。
最後までお読みくださりありがとうございます。またいつもこちらのブログを読んで、山の状態を常に把握しようとしている登山愛好家のみなさま、穂高で会えること楽しみにしています。