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2020/08/22
今日で晴天7日目。山でも快晴無風の暑いくらいの陽気が、今頃になって続いています。
さて、今日は北鎌尾根や前穂北尾根など、バリエーションルートと呼ばれるルートのひとつ、横尾本谷のお話しです。「そういうのには私には無理」、「あんまり興味も無いわ」という人にはこの先、あまり有益な情報はありません、あしからず…
「私には無理でも、槍穂高にもそんなところがあるのね!」なんて興味のある方はどうぞ引き続きご覧ください。
晩秋の写真ですみませんが、屏風岩(屏風の耳)から見た槍ヶ岳と南岳(左)、その南岳から左右に大きく広がるカール地形が横尾本谷の本谷カール(右)と大キレットカール(左)です。
初冬の画像ですみません。
こちらは角度を変えて、蝶ヶ岳から見た北穂~南岳~槍のパノラマ、これは皆さん良くご存知の構図ですね。こちらを見ても横尾本谷の二つのカール地形が良く分かります。
槍穂高連峰のバリエーションルートと言うと、槍ヶ岳の北鎌尾根や、前穂北尾根、北穂東稜などが有名で、いずれも訪れる登山者の多いバリエーションルートです。
一方、横尾山荘から涸沢方面へ向かう途中、本谷橋を渡らずにそのまま沢沿いに登って行き、カール地形に到達するのが横尾本谷です。登山道はありませんが、槍穂に通い慣れた通な登山者達には静かな人気を誇ります。
今週はお休みをいただいており、その上り下りに横尾本谷を利用したのでプロモーションを兼ねてのご案内です。(私も20年来の本谷ファンです)
横尾山荘から登山道を小一時間、屏風岩が遮るものなく眼前に迫るポイントまでくると、本谷橋はまもなく。
本谷橋でルートと別れ、沢沿いに進みます。
本谷橋からしばらくの区間は巨岩が多く、水量も多いのでルート取りに注意が必要です。ここで大きな岩を登ったり下ったりと無駄な動きをしていると後半になって蓄積した疲労が効いてきますので、適格な判断が求められます。
また、本谷橋~二俣の区間は近年の豪雨の影響で沢の様子がずいぶんと変わっています。とはいえ、もともと道などない河原を適当に歩くだけの場所ですから、上手い具合に適当に歩いてください。
本谷橋から1時間ほどで二俣(標高2050m)へ。
真正面の谷は左俣。
こちらは7~8月初旬頃までの雪渓が残っている時期はアイゼンを装着すれば楽々登れるのですが、雪渓が消えると標高差500m分、延々と続く浮石だらけの足元の悪い登りとなり、正直なところあまりお薦めはできません。
とはいえ、途中の標高2400mから流れ落ちる「北穂池の滝」は常時水流のある滝としては日本一の高標高にある滝だと思います。(他にある?)
また、標高差500mのガレ場を頑張って登り切り、カールに到達すればそこに広がる風景は絶品。南岳の獅子鼻などのアレート(氷河針峰)群は素晴らしく、秋の紅葉の時期はそれは見事です。
さて、今回はそんな左俣ではなく、右俣を登ります。
こちらは左俣の荒涼とした風景とは違い、プチ沢登りみたいな感じで、登って楽しいルートです。
1時間ほど、沢登りを楽しみ、最後の小滝を越えると…
景色は一変、黄金平と呼ばれる草原とせせらぎの楽園のような場所にでます。
ただ、クマにとっても楽園のような場所のようです。
南岳から見下ろして観察していてもクマの姿を時々見ますし、実際にフンもたくさんありました。今日は常にホイッスルを鳴らしながら登ってましたが、ご利用予定のかたはクマ対策もしっかりと!!
さらにひと登りして、少しハイマツ帯を藪漕ぎすると標高2400mのカール底に到達。広い広い本谷カール、槍沢や涸沢に挟まれながら、ほとんど人の訪れないこの場所はまさに楽園です。8月初旬であれば一面のお花畑、また10月初旬には紅葉も素晴らしい場所です。
ただ、ここから横尾尾根のコルまではさらに標高差300m、南岳稜線まではさらに300mと、後半はなかなかヘビーです。
今日は小屋の物資などを15㎏ほど担いで登ってたので、さすがに最後はバテてしまいました。どうぞ、この本谷は前半の沢筋の岩をピョンピョン飛べるような軽い荷物で楽しんでいただきたいと思います。
なお、改めて、このコースはバリエーションルートです。
北鎌尾根ほどのクライミング技術は要りませんが、ルートファインディン力や体力は北鎌並みに必要と思ってください。道も目印もない河原や岩場を延々と5時間も6時間も自分の歩くべきルート、足の置き場を考え探しながら登れる経験力のある方向きです。
例年、何件かの問い合わせの電話を受けるので、ここで状態をお知らせしておきます。