2024年度の営業は終了いたしました。
お越し頂いた皆さま、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
We are closed for this year. Thank you for your continued support.
We truly appreciate your loyalty, and are looking forward to welcoming you back next year.
2020/05/08
こんにちは、スタッフ肥沼です。
武断派ひしめく“魔物の巣”こと岳沢小屋より、今年は槍ヶ岳山荘にコンバートされてきました。
異動するたびに帰属意識みたいなモノが徐々に希薄になっていきますね(笑)
当方、県外在住のためひとまず安パイを切り、松本で一時的な隔離生活を経たため、
尖兵となった第1陣の松本在住組に出遅れること10日、 あたかも合戦の一番槍を取られたような 気分で4/29に入山しました。(笑)
過去数年の経験からてっきり僕もヘリで颯爽と降り立てるものだと思っていたのですが、“ヒマだし若くて元気そうだから”というすっごく単純明快な理由で徒歩での“出勤”を命じられ、丸2年ぶりの槍沢を暴風の中、新雪ラッセルという、またとない機会の中、忘れられない入山となりました。
久方の3,000m。泣く子も凍るこの時期の槍の環境はやはり厳しく、例年よりも多い積雪に加え、入山後さらに降った雪のお陰で、だいぶ難儀しているようでした。
この時世の中で、営業自粛を余儀なくされているとはいえ、小屋の維持管理のためにやらねばならないことが山積しております。
新陳代謝が必要というか、常に破壊にさらさられるような北アの環境においては、営業の可否に関わらず人間が入り、いっぺん復旧させねば施設が傷む一方なのです。
おかげで多くの人々が自宅で悶々とした日々を送る中、再びこの大自然と格闘、あるいは打ちのめされるような暮らしができることに、心より感謝しております。
さて僕が先輩から教わった槍のライフラインの復旧方法。
1に除雪
2に除雪
3.4が無くて
5に除雪。
世の中どんなに便利になろうが、世紀を超えて連綿と紡がれてきた小屋番の本質は、地道で涙ぐましい肉体労働に帰結します。
もしあらゆる山小屋の作業がスマートに指先だけで済んでしまうようならば、おそらくそれはもう小屋番ではない( 何の話だ?)
いう事を聞かない投雪機やサンダーで研いだスコップ、低酸素に喘ぐチェンソー、または職質されそうなバール等で、半年かけて堆積した雪氷をあの手この手でやっつけていく様は、さながら発掘作業を随分雑にしたようなイメージでしょうか?
出入口を掘り出し、窓を掘り出し、貯水タンクを掘り出し、雨どいを掘り出し取水ホースを取りつけ等々。
とにかくこの時期はどの作業も生活レベル向上に直結するので皆、必死でやります(笑)
働く理由、ひいては生きる目的を見失いやすい現代において労働の対価がすぐその辺にあるのは、ひとまず非常にありがたいコトです(笑)